シニア学生


 ある市が運営している市民大学がある。

 

小学校の教室を借りて講義が行われている。

大学に似たカリキュラムになっている。

学生のほとんどが「シニア」である。

 

その事務局からお声が掛かり、パソコンの授業を行った。

その時、別時間に学生のパソコンサポートを行った。

講師室でマンツーマンである。

 

何人も学生を診ていると、彼らに共通点があることに気付いた。

「パソコン上の問題点」を解決してあげるのが主目的なのだが・・・

 

本題になかなか入らない。

 

尋ねていないのに、自分の経歴を語り出す。そして「元の肩書」を話し出す。

「八島先生。私はシステム開発を発注する責任者でした」(シニア学生)

「私が『ハンコ』を押さないと前に進みませんでした」(シニア学生)

いかに「自分が偉かったか」をアピールする。

ある人は「会社名」までも出す。(誰も訊いちゃいないよ/筆者)

早く「本題」入りたいのだが・・・

 

30分位過ぎてようやく話し出す。

 

「今まで、部下にやらせていたもんですから・・・」(シニア学生)

「Word・Excelが全然解らないものですから・・・」(シニア学生)

 

と言いつつも、態度は明らかに「上から目線」(私は業者じゃない/筆者)

いまだに、会社と肩書を背負っている。今の自分を認識していない。

 

年賀状ソフトの質問も多い。

「妻が『あなたの分はもうやりたくない!』と言うものですから・・・」

制限時間などお構いなし。訊いて・訊いて・訊きまくる。粘る・粘る・・・

室外には数人の予約学生が待っている。

ここは、会社じゃないんだから、あなたの我儘は通りませんヨ!!(筆者)

「教えてくれ」がいつの間にか「やってくれ」に変る。

 

態度が大きい割に、操作をビビる。

 

「大丈夫!!大丈夫!!」(筆者)

 

初めての「自転車乗り」に似ている