社内規則


 会社組織が大きくなるにつれて約束事が増える。

内容はだんだん細かくなっていく。

「それくらい常識でわかるでしょ」が通じなくなる。

 

 「重箱の隅」をつつく達人も増えてくる。

つつくことで「自分が優れているとアピールする事」が目的なのか、

それとも「相手を困らせる事」が目的なのか、

対応に多くの時間が費やされる。

 

地震より発生頻度の低い事柄に「もし起きたらどうするのか?」

 

何日も会議をしている。非生産的時間が増える。

仕切っているのは「現場を知らない人々」である。

「現場を熟知している人々」は「反論」しない。

ひたすら、時の過ぎるのを待っている。

 

「規則」は「建前」で作られていく。

 

いたる所に「申請」「承認」「報告」「指示」という文句が表れる。

これが多いほど「素晴らしい規則」のようだ。

作成者は権力を持ち「ひどい規則」になっていく。

実態とかけ離れている事を作成者は知らない。

現場は知っていても黙っている。(言うだけ疲れる)

手続きは手作業で行われている時は、ごまかしがきく。

しかし、コンピュータ化されると「パニック」を起こす。

「決められた通り」以外は受け付けられない。

「そこを何とか・・・」と言える相手がいない。

簡単な入力作業だけで、半日も振り回されている。

「逃げ道がない」ことが「堅確」でいいシステムのようだ。

「項目」の内容は誰も見なくなり、埋っているかどうかだけがチェックされる。

 

「内容がおかしい」とは「内容が埋まっていない」という意味になる。

百歩譲っても、せいぜい「記述表現方法」のチェックのみである。

内容なんか、見てない・見てない。

 

 忙しいプロジェクトは手続きが増える。

「時間外作業申請」「休日出勤」「作業結果報告」「トラブル報告」・・・ 申請側は、やっていられない。

20~30人のグループともなると「手続き」だけで大仕事になる。

「未提出」による催促電話・メールの対応がバカにならない。

「催促側」は相手の状況なんてお構いなし。自分の立場のみを考えている。

「管理者」は資料があることで満足している。

「実態」はどうでもよく「見たくない・関わりたくない・泥をかぶりたくない」が本音だ。

「管理者」であって「指導者」ではない。(多くの管理者は自分を指導者だと思っている)

「オレについてこい!」ではなく「お前達についていく」と平気で言う。(大物風な態度で)

 

優秀なシステムエンジニアは「管理者」になり、着任時は部下とやり合っているが、 数年後ただの「指示・命令伝達人」になっている。

親会社から天下ってきたド素人は畑違いの部署に着任し、理解出来るはずもない書面に「ハンコ」を押している。

 

「管理者」が上からの指示で「効率・生産性向上」を毎日連呼している。(自発的ではない)

 

「管理者」がどんなに正論を言おうが説得力がない。

「システムを作った事のない人」「数世代前のシステムしか知らない人」の話を誰が真剣に聴くだろうか?

「モチベーション」が落ちるのも当然である。

 

 そして「大事件」が起きる。

翌々日、テレビでは「トップ3人」が揃って頭を下げて記者会見をしている。

作成された資料をひたすら棒読みしている。「事の真相」を知っている人は表に出て来ない。

 

 「規則」が「建前」「詳細」に作成されるのはトップが責任を追及された時に

「社員が規則を破ってやった事であり、会社には責任がありません」

と明確に言えるようにする事が目的なのだ。

 

「上向き・内向き・後向き」(企業風土3悪)

 

これが蔓延して、組織は衰退していく。