上司承認


 システム作成の主眼は「現場を楽にする。業務処理を堅確にする」である。

最近は、さらに「責任を明確にする」が追加され、至る所に「承認の仕掛け」が現れてくる。

「ハンコ文化(責任回避システム) 」の導入である。

 

  内容をよく見ないで毎日「承認」の【クリック】をひたすら押している。 その回数、半端ではない。

 何かが起こった時、承認者が自分の言葉で「原因・対処」を説明できるとは到底思えない。

プログラムの中身である「主処理・エラー処理・承認処理」のコーディングの割合が変わってきている。

プログラム処理機能は「複雑・怪奇」になり、現場は業務本来の忙しさより「承認処理」に振り回されている。

システム化以前はそんなに「ハンコ」を押していただろうか?

 

「承認処理」はエスカレートしている。

 

「八島さん。一括して承認欄にチェックを入れる機能を作ってくれませんか?」

「エッ?ウッソー!」(筆者/心の叫び)

承認欄を【クリック】しなくても「処理結果」に対して上司が責任を取るのは当たり前ではないか。他に誰が責任を取るのだ!

 

「会社の常識、社会の非常識」

 

 社員は「おかしい」と言わない。これがまた「不思議」 。ひたすら従っている。

太平洋戦争時のある場面と重なってくる。 ほとんどの国民が「おかしい」と思いつつ、誰も公言しない。言うと「非国民」と言われるからだ。

 しかし今では、誰もがあの当時を「おかしい!Jと言っている。

以前、マスコミが「校則のおかしさ」を取り上げていたが、現在の企業の「コンプライアンス」はその「校則」をはるかに超えている。

社員は中学生以下なのか!

 

ただひたすら「守れ!守れ!」

 

言われた事さえやっていればいい。

社員にとって、自分で判断しない事が「生き延びる最高の秘訣」なのか。

マスコミが取り上げないのは、彼らも自社の「コンプライアンス」に毒されているのかも・・・

 いつこのおかしさに気づくのだろう。やっている事はどんどん形式化して「魂」が入っていない。

だらだらと時間を浪費している。

 

WEBシステムの予約システム等は申込入力後、即決して結果をユーザーに返答している。

プログラム処理に「上司の判断を待つ仕掛け」はない。

システム化すると「上司承認」が少なくなるのが本当の姿だと思うのだが-・・・

システム処理上での上司承認の「要・不要」は何を根拠に決定されているのか明確でない。

 

現場には「責任回避症候群」が蔓延している。