システムガード


 お客様からシステム開発の依頼があり着手した。

 外部からデータを電子媒体で受け取り「データ更新」して還元する。

そして、その結果を印刷する。シンプルなパソコンシステムである。

お客様と仕様を固めるべく作業スケジュールの調整に入った。

ところが、返答がない。ひたすら「忙しい」の連発。

やっと、時間を空けて貰ったが、

ただひたすら「お任せします。・・・」(業務担当者の上司)

仕方なく「こんな感じかナ?」と作り出した。

「叩き台のシステム」を作り、それを基に具体的な仕様を固める事になった。

 その後、システムが出来、マニュアルも作成した。

マニュアルを渡し 「いつでも打ちあわせできます」(筆者)

すると、返ってきた言葉は、

 

「マニュアルを見ても分かりません」(業務担当)

 

「では、弊社でデモを行いますので、そこで仕様固めを行いましょう」(筆者)

デモはテストデータで行った。

 

すると「これじゃ、分からない」(業務担当)

 

 話し合いの結果、お客様の本番で使用するパソコンでやる事になった。

本番データを複写し、現処理と結果を照合することになった。

システムをCDに複写してお客様のオフィスに向かった。

ここ迄は「序章」に過ぎなかったのである。

 システムを「Cドライブ」にダウンロードした。

システムは無事起動した。

3ステップ目でファイルを割り当てるプログラム(マイクロソフト提供)を実行した。

システムから「プログラムがありません」と表示された。

予想通りだったので、CDに用意していたプログラムをシステムフォルダsystem32にコピーした。

ところが、コピー出来ない。

「システムガード」されている。

「しかるべき手続きを取らないとコピー出来ない」との返答(IT統括担当)

ファイル名は直入力で対処することにした。

そして、更新処理。

そのものは問題なく終わり、結果を印刷するため〔印刷ボタン〕をクリックした。

ところが、使用可能なプリンタがない!!

「プリンターがないんですけど・・・」(筆者)

「はい、みんなが使用するパソコンなのでセキュリティ上、プリンタは接続されていません」(業務担当)

 

「そんなの聞いていませんヨ!!」(筆者)

「あれだけ、事前にシステムの使用環境を教えてください!といったのに・・・」(筆者/心の叫び)

 

その為、印刷内容をExcelに出力する処理を追加。

それをネットワークを通して他のパソコンに移し、印刷することになった。

 処理ログはシステム内に蓄積して、後々トレースできるように作っていた。

ところが、このシステムは「Cドライブ」に常駐できない(IT統括担当)ことが分かった。

その為、毎回プログラムをどこからかローディングする事になり、ログは蓄積できない。

これもまたExcelファイルにして毎回エクスポートする処理を追加。

このシステムのヘルプも「Cドライブ」以外から呼び出すには「レジストリ変更」する必要がある。

これまた「システムガード」されている。

しだがって「Cドライブ」でないと動かない。その為、毎回ローディングしなければならない。

 

あれも「ダメ!」これも「ダメ!」

 

 ようやく、仕様が固まって来た。

ここへ来て、一気に業務担当者が「趣味・趣向」を主張し出した。

「言葉・説明文句」の添削である。

これにより、全ての画面に修正が入った。

本人は至って「スッキリ」しただろうが、それを受けた筆者は大変である。

表面的に見える部分の修正は直ぐに終るのだが、その修正に整合性を持たせる修正(裏処理)に何倍もの時間が掛かる。

 

 お客様は「そんな事、知ったこっちゃない」

「まだ出来ないのか?」と強気の発言。

さらに「プログラムをインストールしてから修正した内容をリストで欲しい」と言い出した。

 

「あれ~?今は仕様固めのフェーズではないのですか?」(筆者)

「いいえ、システムをインストールした時から仮納品です」(業務担当)

「したがって、今は検証のフェーズです」(業務担当)

「いつになったら終るんですか?」(業務担当)

 

「オイオイ、今まで散々遅らせておいて、さらに遅らせているのはアンタだろうが・・・」(筆者/心の叫び)

 

「話が違うよ~~!!!!」(筆者/心の叫び)