臨プロ


 期末処理作業で慌しい時に上司から「声」がかかった。

「なんですか?」(筆者)

「役員が急に『資料が欲しい』というんだ」(上司)

「大至急プログラムを作成して欲しい」(上司)

「内容は、カレコレ…○×△□…だ!頼む!」(上司)

「印刷形式はどうしますか?」(筆者)

「そんなことは君に任せるよ」(上司)

「いつまでですか?」(筆者)

「早ければ早いほどいいよ」(上司)

早速、作業に取り掛かった。

これを「臨時プログラム」と称している。(通称:臨プロ)

「考え」をまとめながら「仕様書」を書き出した。

 

 一時間後、

上司がやって来た。

「どう?進んでる?」(上司)

「今『仕様書』を書き出したばかりです」(筆者)

「何やってんだ!」

「そんなことはいいから早くコーディングしちゃえ!」(上司)

言われるがままに「仕様書作成」を中断して「キーボード」を叩く。

「プログラムA」を「全コピー」する。

「プログラムB」を「一部コピー」する。

「ファイル記述」を変更する。

「項目名」を変更する。

 まるで「食材」を揃える作業に似ている。

片っ端から各プログラムの一部を貼り付ける。

「姿」「形」を無視して、強引に実行して何かを印刷する。

やりながら「ロジック」を完成させていく。

そしてまた、どこかのプログラムを「パク」ってくる。(そっくりコピーする事)

「オリジナルコーディング」はほとんどない。

「マッサラ」から「プログラム」を作成することはもう出来ない身体(能力?)になっていた。

「どこのプログラムのどの部分が利用出来るか」は頭の中に「キッチリ」と整理されている。

「大至急プログラム作成者」には「適任」らしい。

 プログラムを見ると「バグ」(マチガイ)だらけである。

しかし、今回はその部分を実行しないので手をつけない。

「やっつけ仕事」であるがゆえに出来る限り「手抜き」をする。

 出来あがった「リスト」を上司に渡す。

上司はその「リスト」を持参して「役員室」に入る。

戻ってきて、

「役員が『いい資料』だって」(上司)

「これから『毎月作成するように』と指示があったよ」(上司)

「チョット待ってください!」

「『臨時』なのでキチンを作ってありませんヨ!」(筆者)

「困ります!」(筆者)

「暇な時に修正すればいいじゃないか!」(上司)

 

 一ヶ月後、

「臨時プログラム」の「修正」「仕様書作成」をしていると、上司がやって来た。

「大至急頼みたい事があるんだけど…」(上司)

「なんですか?」(筆者)

「役員が急に『資料が欲しい』というんだ」(上司)

「忙しいんですけど!」

「先日の『仕様書』を書いているんです」(筆者)

「そんなのいつでもできるじゃないか!」

「とにかく黙ってプログラムを作ってくれ!」(上司)

渋々「仕様書作成」を中断して「臨プロ」を作成した。

 

 さらに一ヶ月後、

「臨プロ」に「追加要望」が出た。

上司が不機嫌な顔をしてやってきた。

「A君に修正依頼をしたら『仕様書がないから出来ません』だって」

「どうなっているんだ?」(上司)

「仕様書作成は中断したままです」(筆者)

「ダメじゃないか!」

「キチンとやっていないと…」(上司)

「ハア~?」(筆者)

「中断させたのはアンタだろうが…」(筆者/心の叫び)

「二度と作ってやるもんか!」(筆者/心の叫び)

「臨プロ」は、ある日突然「正式なプログラム」になることを想定していなければならない。

「バグ」(ミス)が発生しても「臨プロ」であったことを誰も認めてくれない。

 

分かっていながら、また作成していた。