頭の穴
人は生まれて来る時、頭に「穴」があり、そこから全ての「情報」が入るらしい。
幼い時は「頭の穴」が小さい為になかなか「情報」が入らない。
大人が何度言っても、子供が理解出来ないのはこれが原因である。
しかし、幼い時に入った「情報」は「頭の穴」の奥の奥に入っている為、そう簡単に出ていかない。
したがって、何歳になってもよく覚えている。
年を取るにつれ「頭の穴」は大きくなり「情報」が入りやすくなるが、同時に出やすくなる。
今聞いた話がすぐに出ていってしまう。
「さっき言ったばかりなのにもう忘れたの?」
最近の話より「昔話」ばかりをするのも納得できる。
年配者が人の説明に対して「よく分かりました」と即答するのは疑わしい。
瞬間的に分かったつもりになっている確率が高い。
何度言っても「分からない!」と発言している方がまだ信頼出来る。
「所を変え」「品を変え」「時を変え」何度も説明を繰り返すことを苦にしてはいけない。
「前に何度も説明したと思いますが…」
なんて言葉は「禁句中の禁句」である。
逆に、居酒屋での年配者の話は3回目からほとんど「リピート話」になる。
本人も、うすうす感じていながらも、話さずにはいられない。
特に「一人称症候群」(筆者の造語)の人々は「他人の話」と「自分の話」をブレンド出来ない為「話の内容」は前回とほとんど一致する。
ただ、よく聞いていると時々「はじめての話」がついてくる。
それを楽しみに話を聞き続けるのが望ましい。
さらに「酒量」と「リピート話」は正比例することを忘れてはならない。
「もう何度も聞いた」
なんて言葉はこれまた「禁句中の禁句」である。
読者もこれからそうなる!間違いなく!
いや、もうすでに「同類」かもしれない。
新規のお客様の仕事を始める時「お客様の話」は自分にとって「初めての話」でないことが多い。
だからといって「みんな同じだ」と思い込んではいけない。
この「思い込み」にトンでもない「落とし穴」が待っている。
「何度も説明できる根気」と「何度も同じ話を聞く寛容さ」が求められている。
これが出来るとお客様から可愛がられる。
社内でもきっと「出世」するに違いない。
「上司に怒るな!行く道じゃ。部下に怒鳴るな!来た道じゃ」(筆者の格言)
筆者は未だにその域に達していない…
「頭の穴」がどこにあるのかまだ見つかっていない。
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