ひとつ


 コンピュータシステム構築作業工程のひとつに「現状分析」がある。

 

第1の見方(バラバラ)

 

 字が示すとおり、

ものを「バラバラ」にして各々の機能を明らかにする作業である。

別にこの世界だけの話ではない。

物に名前があるのは「バラバラ認識」そのものであり「己を他と分ける」と書くと「自分」になる。

 そして「バラバラ」が各々影響しあって「つながっている」ことに気付く。(因果関係)

 これを図にしたのが「関連図」「連関図」であり上級システムエンジニアを自認している人々はこの世界にどっぷりつかっている。

コンピュータシステム構築のあゆみを振り返ると、最初は単機能(処理)の置換であった。

コンピュータシステム自体が独立していた。

そして、機能がどんどん複雑化すると共に周りの処理も独自にコンピュータ化されていった。

「バラバラ時代」の全盛であった。

 

第2の見方(つながり)

 

 それが単独のシステムを連携させて構築すべきだと主張され出す。

「トータルシステム」である。

「Aシステム」で作られたデータを「Bシステム」が利用する「データの共有化」である。

 システム構築の工程はこの「バラバラ」「つながり」の考え方をベースに論じられている。

「システムエンジニア」「ユーザー」は「バラバラ」の世界に執着し、自分の「領域」「責任」の議論に終始している。

これをあまりやり過ぎるとコンピュータシステムは現場から浮いてしまう。

 「コンピュータシステム」という言葉を意識的に「手作業」等と分けて、何か特別なように扱っている。

 社内の事務は「法律」「規定」「手続」「要領」「手作業」「稟議」「打合せ」「報告」「コンピュータ処理」等で遂行されているが全て「システム」であり「コンピュータ処理」だけが「システム」ではない。

 各々「バラバラ」に存在している作業が「書面」「人」を介し有機的に「つながって」おり、外から見ると「ひとつ」の業務システムになっている。

 

第3の見方(ひとつ)

 

 そして「コンピュータ処理」以外のものをどのように取り込むかがシステム構築の「もうひとつの課題」になってくる。

業務セット(ひとつ)という捉え方である。

「区別できるけれども分離できない」(ひとつ)という考え方である。

 マイクロソフトの「OFFICE」なるアプリケーションソフト群や「.Net」の考え方がこれに近い。

エンジニアリングの域を越えている為に「システムエンジニア」の呼び方は馴染まない。

「システムデザイナー」「クリエイター」

と呼んだ方が「しっくり」する。

 実はこの「ひとつ」という考え方の根底には色々興味深い話がある。

「システム」と「ひとつ」の関係を中心に少し述べてみたい。