人変われば品変わる


 本来なら「所変われば品変わる」である。

 ちょっと「ビール談義」をしよう。

どの銘柄を選択するか?大の男が居酒屋で「超」真面目に考えている。

そして「アサヒ」だの「キリン」「サッポロ」「サントリー」の「何々」と店員に告げている。

 その時の「決定プロセス」を分析してみよう。

まず同席した人々の会社に関連する「メーカー」はどれか?

系列会社の人々のほとんどが、忠実なまでに売上げに貢献する注文を行っている。

自分の好みではない。

恵比寿駅近辺の飲み屋には「サッポロ」以外のビールはなかったとか?

真実かどうかは定かではない。

恵比寿には「サッポロ」のビール工場がある。

それ程までに「会社に忠誠的人々が多い」ということか。

後は「辛い」とか「喉越しがどうのこうの」にわか評論家が解説し、特に反論がなければ決定する。

 ところが二人で飲む時は、自分が飲んでいる「いつもの銘柄」にする。

自宅で飲む「ビール」は「瓶」ではなく「缶」を選ぶ。

 では、夏の暑い日、ハンカチで汗を拭うサラリーマンが左手に上着を持ち、右手に小銭を握り締め酒屋に駆け込んだ時、どのように「ビール」を選ぶだろうか?

今まで述べたプロセスで決定されるだろうか?

間違いなく、

「冷たいビールをください!」

冷えていなければ話にならない。

「銘柄」はどうでもいい。

同じ中身のビールなのに「状況」によって求められるビールが異なってくる。

「当たり前ではないか!」

ほとんどの「SE」はこういうに違いない。

じゃ~言いましょう!

 あなたが作ったシステムの「メニュー構成」「使用方法」は「ビールの選択」に似た姿になっていますか?

「どのような人がどんな状況でディスプレイに向かっているのか」を考えていますか?

何故そう言うのか?

どれもこれも「メニュー」が「ワンパターン」なのである。

「初級者」「熟練者」「業務担当者」「システム管理者」とでは「メニュー」は当然異なる。

システムの世界では「所変われば品変わる」ではなく「人変われば品変わる」である。

少なくとも二種類のタイプのメニューを用意したい。

「フルコースメニュー形式」と「バイキング形式」である。

「フルコースメニュー形式」は「前菜」から始まり「デザート」で終わる。

「一つの処理」が終了すると「次の処理」へと自動的に示されるスタイルである。

このスタイルでは「処理が抜ける」ことがなく「初心者」「業務担当者」に向いている。

慣れてくると「分かり切ったメッセージ」「回りクドイ処理」は我慢できなくなる。

「処理したい物」だけ選びたくなる。

これが「バイキング形式」である。

「熟練者」「システム管理者」に向いている。

同じ処理でも「選択方法のバリエーション」がシステム評価を大きく「左右」する。

番号順/五十音順/部署順/顧客順/担当者順/…

「ユーザーはどうやってこの『画面』に辿り着くのだろうか?」

と考えることがとても重要である。

「データの表示」「変更画面」のみに注力している「SE」がとても多い。

作成者側の論理だけで構築している。

 

かゆい所に手が届くメニューは「ビールの選択方法」と同じである。