メニュー


 前話ではシステムを使用する人々の「立場」「状況」によって同じ処理でも辿り着くプロセスが異なることを述べた。

何気なく言っていた「メニュー」とは何なのだろうか?

「本来の料理メニュー」と比較しながら「システムメニュー構成」のあり方を掘り下げてみよう。

「システムメニュー」は「五タイプ」に分れる。

 

  (1)フルコース形式

  (2)定食形式(ターブルドウト)

  (3)一品形式(アラカルト)

  (4)バイキング形式

  (5)メニューの能書形式

 

(1)フルコース形式

  基本的に順次処理。

  後の処理は前の処理が終了していることが前提条件になる。

  初心者に向いている。

  指示された通りに操作すればいつの間にやら終了している。

  考えなくて処理が進むから懇切丁寧である。

  慣れてくるとしつこく感じてくる。

  最近の「インストール処理」はこの形式がほとんどである。

 

(2)定食形式(ターブルドウト)

  複数処理がセットになっている。

  どれから処理しても自由。

  また処理しなくても問題がなくその判断は本人がする。

  どの定食にも共通の「ご飯」「漬物」「味噌汁」が付いている。

  定食の選択が問題になる。

 

 「住所変更処理」(人事管理)があったとしよう。

この処理は、幾つかの場面に登場してくる。

具体的には「入社」「転勤」「結婚」「引越」「住所表示変更」がある。

業務担当者は「住所変更を選択して処理すればいい」と単純に言ってしまえば「オシマイ」であるがそれじゃかわいそうだ。

「入社」「転勤」「結婚」「引越」「住所表示変更」を「定食化」する。

そしてその中に「住所変更メニュー」をセットしておけば処理を忘れることはなくなる。

これが「優しさ」ではないだろうか。

 

(3)一品形式(アラカルト)

  全処理が内部に組み込まれており「選択」「判断」がない。

  しいてあるとすればキャンセル(中止)だけである。

  ハンバーグの中身は本人にはよく分からない。

  嫌いなピーマンが入っているかもしれない。

  「更新処理」(バッチ型)がこれにあたる。

 

(4)バイキング形式

  これは最も伝統的なやり方であり処理手順は全て業務担当者の判断に任される。

  その為、トラブルが発生する確率が高くなる。

  熟知している人には一番効率的である。

 「台帳」「コード照会」のほとんどがこの形式である。

 

(5)メニューの能書形式

  メニューの説明。

  処理の内容や注意事項やり方のヒントが表示される。

  「操作マニュアル(別本)」を作成するのはやめませんか?

  隠れ画面として「仕様書」も「画面の中」に入れてしまっては如何ですか?

 

納品時のみにしか見てもらえない「設計書」「仕様書」「マニュアル」が多い。

 

「操作マニュアル」を見ないと処理できないシステムが「いいシステム」と言えるのだろうか?

 

重要なのは「作りやすさ(作成の効率性)」よりも「使いやすさ(操作の効率性)」である。

最近、これが「さかさま」である。