社内規則(番外)


 社内規則はどんな時に作成されるのだろうか。

 

1.法律が変わった時(規制・緩和)

2.組織変更の時

3、社内トップが変わった時(人事異動)

 

この3パターンは定期的であり、社員も割り切っている。

 

もうひとつある。

それは「事件」「事故」が発生した時である。

 

 コンピュータのオペレータをやっていた時のことである。

深夜、依頼された作業指示にエラーがあり、後続作業が出来なくなった。

後続作業ができないと翌日大きな影響がある事は現場もよく知っていた。

したがって、ベテランが内緒でリカバリー(修正)し、後続作業も済ませていた。

周囲はそれを黙認し、依頼者からも大変感謝されていた。

この作業は「シロウト」ではできない。

 ところが、ある時「生意気な新人」が勝手にリカバリー作業を行ってしまった。

そして、入力と出力を入れ替えてしまった為にマスタデータが消えた。

依頼者の上司は「カンカン!」

現場の上司も言い訳できず、社内規則に

 

「リカバリーをしてはいけない(禁止)」

 

の事項を付け加えてしまった。

 

一番困ったのはいつもリカパリーの恩恵を受けていた依頼者であった。

たった一回の発生で、たった一人の「パカ者」のミスの為に今まで旨くやっていたものが出来なくなる。

そして「非効率な作業」が積み重なる。

リカバリーしなければ「リカバリートラプル」は発生しない。

管理者にとっては最善の処置だろうが・・・。

「くだらない手続」が積み重なり、誰が見ても「おかしい作業」になっていく。

 

いままで通りの方が現場では一番効率的なのだ。

ところが発生トラブルに対する「無対策」「無処置」を誰かが指摘する。

実態を知らない「かき回し屋」が大声で叫ぶ。

「正義の味方」「英雄気取り」で建前論を展開する。

この男を誰も黙らせようとしない。

 

 その後、誰も本音を言わなくなる。

規則を作成させた人物・その発端となった人物がまだいるからだ。

 十年経ち、トップが一新した時「業務を見直せ!」と号令がかかり、作業がスリム化される。

「丸刈り」みたいに「スッキリ」する。

ここでようやく本音が出でくる。(今はいない人々を戦犯者にする)

言っても問題ない時を待っていたのだ。

 

その後、またトラブルが発生する度に規則が厳しくなる。

そしてどこかの「校則」と酷似してくる。

立派な大人達の集団にもかかわらず。

 

さらに、また「バカ者」が現れ、規則が厳しくなる。(以前のトラブルとは別物)

 

これを周期的に繰り返している。「振り子」そのものである。

 

いまだに当時の「悔しさ」「やり切れなかった思い」が忘れられない。