顔チェック


 お客様から電話が入った。

「コンピュータがおかしいので、すぐに来てください」

即、現場に急行する。

お客様は目の前で再現しようとする。

 

しかし、何故かうまくいく。

 

「あれ~?」(お客様)

「どうかしましたか?](筆者)

「画面が出てこなかったのになあ~?」(お客様)

 

緊急に呼ばれて「何でもない事」は多い。

冗談の分かるお客様にはこう言う。

 

「顔チェックですネ!」

 

原因は「思い込み操作」である。

ミス入力に気付いていない。

しかし、筆者が来た時点で思い込みは「リセット」されている。

「来た価値」はあるのだ。

その後、原因は迷宮入りになる。

 

論理的なやりとりをいつもやっているSEでも「情緒的言葉」を使う。

 

「相性が悪い!」

「パソコンに嫌われた!」

 

昔は「ムキ」になってトレースしたが分からない方が多かった。

今は時間を掛けない。

「そのうち、分かるヨ」と自分に言い聞かせながら・・・

「代替案」があれば「良し」とする。

 

そして、ある日突然「原因」が判明する。

いつもの習性で指が「あるキー」を押そうとしている。

 

「あれ~?」

 

もう一人の自分が「待て!」と言っている。

 

自分では意識していないが「頭の奥」ではしっかり「トレース」していたのだ。

原因は至って「簡単」。この場で言うのは「辛い」。

「どうしてそんな事、分からなかったの?」と言われるに決まっている。

「そんな事、当たり前だヨ」とたたみかけられる。

 

キーボードが「Num Lock」「Caps On」だったりして・・・

 

だから、絶対に言わない。