あれ・それ・これ


 年齢を重ねるにしたがって話し方は自己中心的になる。

 

突然、話が始まる。

そして「あれ」「それ」「これ」と指示代名詞が多くなる。

聞き手は何がなんだか分からず、ただうなずいている。

「連れ合い」だったらまだしも「赤の他人」はそう簡単についていけない。

当人だけは、話の前後を知っているから不自然だとは思っていない。

そのうち重要な所で「言葉」を忘れる。

 

「あれ・あれ・エ~と何だっけ?アレよ!アレ!」

 

「連想ゲーム」をやりながらようやくその「言葉」に辿り着くと、そもそも「何の話だったか」すっかり忘れている。

見ず知らずの人には耐えられない。

こんなやり方で「パソコンの質問」をされたら堪らない。

 

話が難解なのには理由がある。

「主語」が欠落している。

さらに、最後にならないと「独り言」か「質問」か分からない。

「あなたの聞きたい事はこういう事ですか?」

と聞き返しながらやりとりするのは重労働である。

 

兎に角「自分が何を質問しようとしているのか」整理してから聞くのがいい。

そして「教えてください」とハッキリと言う。

この一言で相手の態度が決まる。

親切になるか素気ないか。

聞いている時の態度も大切。

 

「ハイ」という返事。

これが、なかなか出来ない。

ところが、繰返す内に自分の心が段々と素直になってくるから不思議である。

分からない時には「分からない」とすぐに言う。

そうしないと、次の質問が出来なくなり、ひたすら時が過ぎていく。

 

パソコン習得度が遅いのは脳力(?)ではなく「聞く能力(聞き方)」に問題がある。

言われたとおりやらない。

非効率と判っていても自分のやり方にこだわる。

 

「プライド」というどうしようもない難物が邪魔をしている。