修正


 会議の中で「修正」という言葉が発せられると体が緊張する。

「修正」「訂正」「変更」「追加」の意味は異なる。

「訂正」

誤りがあり、それを正しく直すこと。

したがって、開発側の責任であり速やかに対処しなければならない。

対処が遅いと顧客のトップから「カミナリ」が落ちる。

「変更」

誤りはなく異なる内容に変えること。

お客様からの要望なので基本的にはその対価を請求できる。

「追加」

いままでなかった項目・処理を新たに加えること。

基本的にはその対価を請求できる。

では「修正」はどのように定義できるだろうか?

個別に聞いてみるといい。

同じ返答である確率が低い。

「修正」という言葉が会議中にやたらと出てきてその意味は一定していない。

 ある時は「訂正」であり、ある時は「変更」、そしてある時は「追加」を意味している。

よく聞いていないと相手の「術中」にはまってしまう。

怖いのは相手がこれを意識して話していないことなのだ。

「八島さん!ついでにココも直しておいてくれませんか?」

「簡単でしょう!」

「簡単」の根拠はどこにもない。

当人はシステムを作ったことがない。

言葉は「質問形式」であるが「強制的依頼」である。

「あ~あ、そうだ!急ぎじゃないんだけど『アレ』も暇な時でいいからやれたらやってくれませんか?」

 

 この頼み方は、その後2つのタイプに分かれる。

 

「Aタイプ」

 

言った本人がすっかり忘れている。

結果報告すると

「それ何だっけ?」(当人)

「いや、先日言われた事なんですけど」(筆者)

「そんな事言ったっけ?」(当人)

「ガクッ」(筆者)

 

「Bタイプ」

 

「暇な時でいい」と言っておきながら、

翌朝「どう?出来ている?」

と軽く聞いてくる。

他人がやる事は何でも「簡単」なのだ。

「いや、まだ手をつけていません」

と言うと、とても「不機嫌」になる。

それをみて、急いでやると実は「急ぎ」ではないのだ。

「ガクッ」(筆者)

 営業担当者はお客様に対して、

「新規プログラム1本?万円」「修正プログラム1本?万円」

とよく言う。

「修正」より「新規」のプログラムの方が高いのが一般的である。

 ところが「変更」箇所があまり多いと、これはもう「修正」というより「新規」である。

なまじ「修正する」より「新規作成」のほうが作り易い。

新規プログラムを作成した方がいいにもかかわらず、既存のプログラムの中に無理やり押し込んで、修正プログラム1本の値段でやってしまおうなんて…

それは「あんまり」ではないですか!

人には「チョットした修正」に見えても、実際はとんでもない「大修正」なんて「ザラ」である。

一箇所の「修正」を受け入れたことによって、全体の考え方が大きく変わり何十本のプログラムを「変更」しなければならない「ハメ」になる。

近い将来「変更」されることが明白であり同時に変更しておけば「体力の削減」「コストの削減」になるにもかかわらずやらない。

時が来て、当然「大修正」になる。

「誰が喜び」「誰が得する」のか?

 相手がどんなに「簡単でイイヨ」と言ってもその通りやってはイケナイ。

頼んだ本人は中身を熟知して言っていない。

「ガンバレヨ!」等の挨拶と同意語である。

「いい加減」にやると必ず「シッペ返し」がくる。

筆者は何度も「痛い目」にあっている。

「自業自得」である。

お願いですから「IF」の中に「IF」を何個も記述しないでください!

数日をケチった「ツケ」が数年後「大問題」を引き起こす。

 

「修正」は「新規」より出でて「新規」より難し(筆者の格言)

 

「修正」にいい思い出がない。

一度でいいから「システムを作ってもらう身分」になってみたい。